会長挨拶


  第56回日本小児アレルギー学会学術大会を、2019年11月2日(土)・3日(日)に千葉市幕張メッセ国際会議場にて開催させていただきます。過去の千葉市での開催は、1999年に第36回学術大会(西牟田敏之会長)、2006年第43回学術大会(河野陽一会長)に続いて3回目になります。歴史ある学会の学術大会を再び千葉で開催させていただく貴重な機会を頂戴いたしましたことを感謝申し上げますとともに、スタッフ一同大変光栄に存じております。
  2019年の学会テーマは「根っこから考える子どものアレルギー ~病態解明・治療そして予防へ~」といたしました。『根っこ』に込めた意味は、増え続ける子どものアレルギー疾患を治し、予防するためには、根本からのアプローチが極めて大切ではないかと考えたためです。医学的観点からは、食物のみでなく吸入アレルゲンに対する感作を防ぐためには早期からのスキンケアの重要性が明らかになってきましたが、経皮膚感作のみで最近の食物アレルギーの増加を十分に説明できません。その意味でも、我が国でのコホート調査からアレルギー疾患の発症・増悪因子を明らかにし、介入研究による検証が必要と考えます。また、早期介入によるアレルギーマーチの進展予防という意味では、「根本治療」とも言われるアレルゲン特異的免疫療法の認知・普及そしてさらなる改善も進めていく必要があります。医療の点からは、「科学的エビデンス」を「実臨床」に届けていくためのシステム作りの上でも『根っこ』から考えたアプローチが大事と考えます。多くのアレルギー疾患ではセルフケアでのQOLの向上が期待できますので、今後さらに患者・家族・保護者にアレルギー疾患の理解ならびに積極的な診療への参加をしていただかなければなりません。さらに予防の点からは産科医・助産師・保健師・栄養士など出生前後の母子保健・医療に関わる職種との連携も極めて重要です。本年にはアレルギー疾患対策基本法に基づき全国・各県に拠点病院が配置されました。「科学的エビデンス」を「実臨床」での実践に結びつけるためにプライマリー診療に携わる医師を含めて多職種による連携をさらに推進することが求められます。アレルギーマーチはしばしば木の形で説明されます。アレルギーマーチを防ぐという意味での『根っこ』の位置付けは大変重要です。一方、アレルギーを持つ子どもたちが元気で大きく育っていくという木のイメージもあります。私たち医療者を含め、子どもたちの生長に関わる者が、肥料や水や太陽の光として、それを支えていくことができればと思います。
  本会では、会長企画として、一般演題の中から選考をさせていただいて治療、診断、病態・バイオマーカーの3つのテーマについてミニシンポジウムを行うことにしました。優秀演題賞を選ばせていただきますので奮って応募ください。また、環境省による『子どもの健康と環境に関する全国調査(通称エコチル調査』の国際会議を共同開催させていただくことになりました。世界の疫学調査から学ぶことが多くあると存じます。そのほか、国内外の第一人者の先生方に特別講演、招請請講、教育講演をお願いしております。学術集会の原点である一般演題を重視し、演者と参加者の活発な議論のために、口演・ポスターともシンポジウムとはできるだけ時間的に重ならないようなプログラムを考えております。そのほか、従来の学術大会で好評であった企画をさらに充実してお届けしたいと考えています。大変欲張りなテーマを掲げましたが、第56回日本小児アレルギー学会学術大会が、皆様の日々の診療や研究に役立ち、小児アレルギー診療の発展に資する実り多いものであるように全力を尽くす所存です。多くの会員の皆様のご発表と活発な討論をよろしくお願い申し上げます。本学会は、学会終了翌日が休日となっています。学会終了後に、千葉県内でリラックスした時間を過ごしていただければとも思います。ぜひ多くの方のご参加をお待ちしております。

   


《事務局長》山出 史也
《事務局》千葉大学大学院医学研究院小児病態学  
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